いよいよあから2010のデビュー戦が迫ってきた。ブログやTwitterでも話題として取り上げられることも増え、注目が集まってきている。残念ながら、仕事の都合で現地には行けず、連盟モバイルのiPhone版が間に合いそうもないことから、終局後にじっくり見ることになるだろう。ここで、開発側からの注目点を挙げておきたい。
[1] あから2010はきちんと動くのか
いまや並列探索は普通に行われているが、メモリを共有しないクラスタ環境での動作例はまだ少ない。WCSC20のGPS将棋は奇跡的に無事故だったが、はたして今回はどうか。
[2] 合議は効果が発揮されるか
本局の結果だけで合議効果の有無を論ずるのは無意味だが、是非良い結果が出ることを期待したい。勝率60%程度の効果なので、効果が非常にわかりにくい。なお、楽観的合議が採用されるのではとの噂があるが、これはありえないと断言しておく。4種類の思考の評価スケールを合わせることは困難だからである。
[3] 時間の使い方
3時間という持時間はコンピュータ将棋にとっては経験の少ない長い持時間である。メリハリのある時間の使い方ができるかどうかは勝敗に影響するだろう。特に合議での時間の使い方・配分の仕方はまだまだ未知数な部分が多く、どこまでチューニングできているか注目である。
[4] 戦型の選択
おそらく清水女流は序盤で優位を築くべく凝った指し回しをしてくると考えられるが、あから側の対策はあるのか。序盤でつぶれてしまうことだけは避けたいところだ。斬り合いになればコンピュータ将棋の実力が発揮されるだろう。
コンピュータ将棋と清水市代女流王位・女流王将の対局日が10月11日(月・祝)に決定した。
日本将棋連盟 – お知らせ : 特別対局「清水市代女流王位・女流王将vsコンピュータ」開催日決定
情報処理学会 – 50周年記念事業 : コンピュータ将棋プロジェクト
場所は東京大学である。これは人間側に若干不利な条件と言える。どれだけ普段の対局環境に近付けられるか、配慮を願いたい。
さて、持時間やコンピュータ側の詳細が明らかになっていないが、今後人間とコンピュータ将棋との対局が続いていくに当たり、対局規定を整備する必要があると考える。
手入力の時間はカウントするのか、入力ミスをしたときにどうするか、昼食等の休憩時間をコンピュータ側がどう扱うか、休憩時間になったことあるいは近いことをコンピュータ側に伝える手段はどうするのか、封じ手をどう実現するか、電源断等の不測の事態にどう対処するか、等々人間同士の対局にはない問題が存在する。トラブルが起きる前にルールを決めておくべきであろう。
片上大輔六段のブログ「daichanの小部屋」の記事「コンピュータ」に筆者が取り上げられていた。詰将棋パラダイスにコンピュータ解答を送っていたのは1988年から1995年までで、この辺りの経緯については2003年11月号に書いた。ちなみに当時のプログラムのオンライン版はここにある。現在の臥龍の中にもしっかり残っている。
今日からiPadの予約が始まった。早速WiFi 16GBを予約、iPad CaseとVGAアダプタも注文した。初物なので様子見の部分と、iPhoneでの使用実績から16GBで充分と判断した。電子書籍の国内展開は不透明だが、将棋と電子書籍の組合せは良いと考えている。従来手順は符号で記述され、途中図をはさむことで読み手の負担を減らしてきたわけだが、インタラクティブに盤面を動かすことができれば新たなエクスペリエンスを呼び起こすに違いない。また、対局用の盤面としてもiPadの画面サイズは有効だろう。チェスクロック機能を組み込んだアプリケーションの登場を期待したい。
週刊将棋5/12号はコンピュータ将棋関係だけで4ページも占めている。選手権の記事はなんと裏表紙である。図面も何局か紹介されているが、棋譜を追いたい方のためにリンクを張っておく。
「コンピュータは七冠の夢を見るか」将棋世界4月号は探索の話題。深く読むことの難しさ、枝刈りの一手法null move pruning、水平線効果について等々。まだまだ連載は続くらしい。
明日週刊将棋が来る前に、2009年の将棋界の話題を私なりにまとめてみたい。なお、これは完全に私の趣味が反映されたものであり、世間の見方とは異なることをご了承願いたい。
【1. どうぶつしょうぎ大ブレイク】
1番はどうぶつしょうぎでしょう。将棋の話題ではないが将棋ライクゲームでかつてこれほど話題になったものはない。
【2. Twitter bot登場】
GPS将棋に続き、Bonanza・大槻将棋が登場。控え室や観戦記で話題になるなど、中継の見方に一石を投じた。
【3. コンピュータ将棋プロに迫る】
5月に行われた第19回世界コンピュータ将棋選手権でGPS将棋が優勝した。アマチュアトップクラスでも容易に勝てないレベルに到達した。Bonanzaのソース公開、合議アルゴリズムの登場など、ブレイクスルーの予感がする。
【4. iPhone用アプリ】
スマートフォンであるiPhoneは比較的容易に参入でき個人プログラマにとって魅力的な市場である。将棋ソフトでは柿木義一さんの5五将棋K55に続き柿木将棋が売れている。その後、何種類か将棋ソフトがリリースされたが、柿木将棋ほどには数が出ていないようである。個人的にはKifuの方が良く使っているのだが、ほとんど売れていないらしい。
【5. 瀬川四段フリークラス脱出】
フリークラスからの脱出が難しいことは良く知られているが、アマチュアからプロ入りした瀬川四段がこのハードルを越えたことは素晴らしい。着実に力を付けてきているようだ。
【6. 久保棋王新手7五飛】
三間飛車党の私としては、この話題をはずすわけにはいかない。序盤早々の新手を発掘した久保棋王の研究に拍手である。
【7. 深浦王位3連敗4連勝】
昨年の竜王戦に続き2回目の出来事、起こるときには起きるものだ。さらに、直後の週刊将棋10/7号のバトルロイヤル風間さんの4コマ漫画「オレたち将棋ん族」が近年まれに見るヒットだと思うのだが…
【8. 北尾まどか女流初段フリー宣言】
プロ棋士・女流棋士のあり方に一石を投じるものとしてそのチャレンジを評価したい。
【9. 不況(?)の影響】
世間は不況と言われているが、プロ将棋界はずっと前から不況である。新聞社頼みの経営が行き詰まっていることは明白。替わるビジネスモデルを出すことができていない日本将棋連盟に明るい未来はない。
【10. 大和証券杯システムトラブル続く】
女流最強戦でシステムトラブルが続いている。システムを更新してからトラブル続発ということだが、単なるテスト不足ではないのか。ネット事業は連盟の新たな柱であるはずだが、どうなっているのだろうか。
竜王戦が開幕した。NHKBS2で中継番組が放送されたが、思うところがあるので書いてみたい。
1. 日程について
この第一局は囲碁の名人戦と重なっていた。そのため、放送時間も半分となった。中継の日はそれほど多いわけではないので、重ならないよう対局日程を調整することはできるはずである。将棋ファン。囲碁ファン共に不満が残るであろう。対局者や主催側の都合もあるのだろうが、見る側への配慮がもっと必要だろう。まあ、国会中継に翻弄されるのも問題なのだが。
2. ダイジェスト
これまで2日目夜は深夜の放送だったが、22時台に移り見やすくなった。しかし、10分に短縮するとは何事か。いままでの15分も少なすぎだったのにである。ゴールデンタイムに枠を取るのは難しいのだろうが、終盤の解説を短時間にやるのは無理がある。インターネット中継が充実してきている今、従来のメディアは工夫が必要である。個人的には、囲碁・将棋チャンネルに頑張ってもらって、フルタイム中継を実現して欲しいのだが。
またまた梅田望夫さんのウェブ観戦記である。勝又六段とGPS将棋の金子さんも登場し、GPS将棋の読み筋を織り交ぜながら、トッププロとコンピュータ将棋の比較を試みている。横歩取りはコンピュータ将棋にとって大の不得意戦法だと思っているが、これで比較されるとちょっと苦しい。各エントリへのリンクを張っておく。
(1) コンピュータ将棋には指せない手を指して勝つのがトッププロ
(7) 意表のコンピュータの指し手を控え室で検討。おっその手を羽生が指した!
(8) その気持ちをなくしてしまったら、きっと坂道を転げ落ちる
梅田望夫さんと言えばウェブ進化論で有名だが、最近は将棋の観戦記を書かれるようになり、「シリコンバレーから将棋を観る」という本まで出されている。
現在進行中の第80期棋聖戦の第一局でも観戦記を書いているが、その中でコンピュータ将棋に触れた部分がある。Bonanzaのソースコード公開や選手権の話題、大槻さんの自戦記を引用してコンピュータ将棋と人間の勝負について述べられている。
梅田さんは最近将棋専用のブログも立ち上げており、目が離せない人物の一人であろう。
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